展示会名:テート美術館展
場所:国立新美術館
注目画家:ターナー、ジョン・エヴァレット・ミレイ、ジョン・コンスタブル
展示会公式サイト:https://tate2023.exhn.jp/
美術館公式ページ:https://www.tate.org.uk/
テートの傑作に出会えた眼福な展示会でした。
畏敬を抱くような神々しい光から写実的な自然光まで、光の表現の多様さに驚きます。大好きなターナー、ミレーに出会えたのも嬉しかったです。
展示会全体の感想
イギリス・テート美術館の「光」をテーマにした作品の展示会です。
やはり圧巻だったのは「光の画家」と呼ばれるターナーの作品でした。写実的な風景画を描くことが多いターナーですが、展覧会では抽象的な光の表現を追求した作品や光の持つ神々しさを引き出した作品が鑑賞できました。
ちなみに私が一番長く足を止めてしまった作品はラフェエル前派 ジョン・エヴァレット・ミレーの描いた「露に濡れたハリエニシダ」でした。物語の1シーンと錯覚するような幻想的な作品で、どこかミレイらしい魅力があります。
特に気に入った2作品
ターナー《湖に沈む夕日》
一番目に紹介したい作品はターナーの描いた夕日です。
淡い色が混ざり合い湖と空の境界も曖昧ですが、微妙なタッチの違いで空の質感、海の反射が表現されています。
どこか印象派のモネが描いた「印象 日の出」を彷彿とさせる作品でもありますね。
波や雲など形を持つものすべてが光に還元され、それらすべてが混ざり合った湖の光。この光には胸がキュッとなるような夕方の寂しさを感じさせる不思議な魅力がありますよね。
ジョン・エヴァレット・ミレー《露に濡れたハリエニシダ》
ラファエロ前派のミレーの作品です。ミレーは私のお気に入りの画家でもあります。
ミレーは「オフィーリア」に代表されるような物語の世界に引き込むような美しい人物描写が特徴です。この作品には人物は描かれていませんが、ミレーらしい幻惑的な美しさが込められていますよね。
朝靄がかかり輪郭がぼやけていますが、奥の木々が色づいているのできっと秋の朝ですね。手前の朝露に濡れた瑞々しい低木がハリエニシダでしょうか。
描写は緻密で写実的なのですが、一方でどこか物語の世界のような雰囲気を感じます。まるで何かが起こる前兆のような静謐さと言えば良いでしょうか。これも光の表現によるものなのでしょうね。
その不思議さに長時間この作品の前で佇んでしまいました。
イギリスの素敵な画家たちの紹介
ウィリアム・ホルマン・ハント《無垢なる幼児たちの勝利》
ホルマン・ハントもミレーと同じく、ラファエル前派の画家の一人です。
水晶玉の写り込みの描写にため息が出ました。
鑑賞している周りの方々もこの水晶玉に夢中のようで、体を乗り出さないでくださいと注意されている方もいるほどでした。笑
一説によるとこの水晶玉は永遠の命の流れを象徴しているようです。
ジョン・コンスタブル《ハリッジ灯台》
コンスタブルはターナーと同時代のロマン主義を代表する風景画家です。
緻密な描画技術に定評がある画家です。
この絵も大胆に3分の2以上が空、特に雲を描く構図になっていて、コンスタブルの自然の観察力が見て取れますよね。
ジョン・リネル《風景(風車)》
リネルはコンスタブルとライバルだったと言われています。
右の絵のような少し古典的な雰囲気の風景画を描く画家として知られています。
本展示会ではコンスタブルとリネルが並ぶように展示されていてその比較も面白かったです。
まとめ
イギリスの素敵な画家たちの素敵な作品をたくさん見られました。
鑑賞作品データベースも久しぶりに更新です:)
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