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書籍紹介001:《おすすめ美術書籍リスト》

私が出会ってよかった思う美術の本を紹介します。
読んで美術館に行きたいと、そう思う方がひとりでもいたら嬉しいです。

目次

Part1 自分以外のまなざしで鑑賞する編

原田マハ『原田マハの名画鑑賞術』

まず、紹介したいのがマハさんが執筆した『原田マハの名画鑑賞術』。2022年出版で私も最近読みました。マハさんは小説家なのですが、人生を通じて深く美術に関わってこられた方です。この本からも大好きな作品、作家への愛情がひしひしと伝わってきますし、文章がシンプルながらも巧みで惹きつけられます。

私がこの本を最初に紹介したいと思った理由、それは原田マハさんの作品へのアプローチがとても多彩で面白いからです。今向き合っているこの絵が描かれた背景はなんだろうか、作者の人柄や人生を想像してみよう、絵から受け取った印象を言語化しよう、なぜそう感じたのかをじっくり考えてみよう、この絵画の歴史的な意味とはなんだろうか、美術の知識と鑑賞体験を融合させて想像を膨らませてみよう…。読むたびに美術の楽しみ方に発見があります。

それに加え国内の魅力的な美術館をたくさん紹介しているのも楽しいです。美術館が目的地になる旅行があったっていいですよね。マハさんもまず作品に出会うことが大事だと述べています。美術館へ行く一歩目としてぜひおすすめしたい一冊です。

江國香織『日のあたる白い壁』

次に紹介したいのが小説家 江國香織さんの『日のあたる白い壁』です。
美術鑑賞は色々知識がないと楽しめないだろうと、敷居の高さに身構えてしまいがちです。かくいう私もそうでした。そんな方にこの本を紹介したいのです。

江國さんは自分の体験や記憶を鑑賞と紐付けて、楽しむ術を教えてくれます。
本を読むことも作品を鑑賞することもそうですが、受け取り方に正解などありません。この絵はどこか懐かしいけど何故だろう祖母の家を思い出すからかな、我が家に飾るとしたらどの作品がいいかな、そんなことを考えながら作品をより身近に感じることができれば、ひとつひとつの鑑賞体験がきっと宝物になります。

三浦篤『まなざしのレッスン』

上の2作品は、私が大好きな小説家のまなざしで鑑賞を体験しよう、というコンセプトで紹介しました。
次に紹介する『まなざしのレッスン』は、西洋伝統絵画の鑑賞方法がテーマの書籍です。
作品の鑑賞に知識は必ずしも必要ないと思うのですが、アカデミックな鑑賞方法や背景知識を少し知るだけで世界が広がったように感じるのも、また美術の面白いところなのです。

私がこの本に出会ったのは大学の授業でしたが、当時は美術に関心がなく、積読本の一冊として埋もれていました。しかし、今では私が美術鑑賞を趣味にしているのはこの本のおかげだと言えます。それくらいに、分かりやすさ、面白さ、実用性の三拍子が揃った本なのです。

西洋伝統絵画、その中でも特に神話画や宗教画、寓意画は、絵画に散りばめられたアトリビュートが読み解くヒントになっています。アトリビュートとは簡単にいうと、歴史上の人物または神話上の神と関連付けられた持ち物のことです。例えば、近くにキューピッドがいるからこの女性はヴィーナスだとか、青いマントを羽織っているから聖母マリアだとか、アトリビュートを元に人物や絵の持つ意味を判断できるのです。
そうした鑑賞におけるヒントを分かりやすく解説しているので、入門書の一冊としてぜひ読んでみてください!

Part2 美術館をまるごと好きになる編

渡辺晋輔『国立西洋美術館 名画の見かた』

続いて、美術館まるごと好きになる書籍を紹介します。
最初に紹介したいのが私の尊敬するキュレーター渡辺晋輔さんの『国立西洋美術館 名画の見かた』です。私は大学の特別講義で渡辺さんから美術の鑑賞方法について学びました。私の美術の入り口に渡辺さんがいたからこそ今でも美術館へ通っている、そう思っています。

この書籍では国立西洋美術館の所蔵作品を元に、美術の鑑賞方法や作品のポイントを解説しています。キュレータと一緒に美術館を歩いているかのような感覚があり、とても贅沢でしたよ。笑
ぜひこの一冊を読んで国立西洋美術館の常設展に足を運びましょう。

後半のギャラリートークでは美術館の裏側も窺い知ることもでき、貴重で面白いですよ。

エウヘーニオ・ドールス『プラド美術館の三時間』

続いて紹介したいのが『プラド美術館の三時間』です。
この本もプラド美術館をキュレータと一緒に歩いていると錯覚するような贅沢な一冊です。三時間という時間設定も実際の鑑賞体験と近く面白いですよね。日本で見ることのできない傑作の数々をあっという間に通り過ぎてしまい、物足りなさもありますが…。笑

やや専門的で難しい解説や解釈もありますが、友達のように話しかけてくる文体のおかげで突き放されることはないはずです。足を伸ばすのは難しいプラド美術館ですが、まさに行って観てきたような満足が得られます。

原田マハ『美しき愚か者たちのタブロー』

マハさんが史実とフィクションを境界なく融合させ、国立西洋美術館創設の背景をドラマチックに描いています。

美術を愛し信じた愚か者たちによって守られたタブローの数々…、国立西洋美術館を愛さずにはいられなくなる一冊です。この本の素晴らしさは私の言葉では手に負えません。ぜひ手に取って読んでみてください。

Part3 美術の地図を手に入れる編

E・H・ゴンブリッチ『美術の物語』

言わずもがなの名作です。
昔は辞書みたいな書籍しかなかったのですが、リニューアルして読みやすくなっています。
美術の歴史を知るということは、鑑賞における地図を手に入れるということです。目の前にある作品が歴史や時代、文化に紐づくことでいっそう想像が膨らみ、ワクワクします。

アンドリュー・グレアム=ディクソン『世界の美術 コンパクト版』

作品集を一冊持っておくと、どんな画家か気になった時に代表作の写真付きで調べることができ、とても便利です。私は辞書みたいな役割で使っています(たまに枕にもなっています)。
コンパクト版かっこ笑ですので持ち歩きには向いていませんが。。。

Part4 ギリシャ神話を好きになる編

柴崎龍人『三軒茶屋星座館』 

ギリシャ神話に親しむと神話画の魅力が倍増します。
全く知識がないという方にもおすすめなのはこの小説『三軒茶屋星座館』です。

ギリシャ神話は全くとっつきづらいものではなく、むしろギャグ漫画のような世界観だと私は思っているのですが(美しい物語もあります)、この本の主人公は私と同じ考えのようです。
彼は物語の舞台となる星座館(プラネタリウム)で、ギリシャ神話を噛みくだき、その伝説を現代風に解説してくれます。その説明を読むと、ギリシャの神々との距離がグッと近づくこと間違いなしです。

読み終えた頃にはギリシャ神話への苦手意識は綺麗さっぱりなくなっていますよ。物語としても面白い一冊です(と言いながら4冊の連作です)。

吉田敦彦『一冊でまるごとわかるギリシア神話』

ギリシア神話について書かれた書籍は少し難しいものが多いので途中でやめてしまうことが多いのですが、この書籍は分かりやすく面白いのでお勧めします。そして、紹介文を考えることに力尽きました。

呉茂一『ギリシア神話(上)/(下)』

なかなか読むのが大変な一冊です笑
ただ、じっくり読むことでギリシア神話の解像度がグッと上がるはずです。私は神話画を見て分からなかったことがあった時、この本を読み返すことにしています。

少し難しいですが読み終わった頃にはギリシア神話マスターになっていることでしょう。そうですよね、呉さん。

Part5 画家をまるごと好きになる編

原田マハ『楽園のキャンバス』

アンリ・ルソーが大好きになる一冊です。
この本は美術ミステリーとしてもめちゃくちゃ面白いです!!
(マハさんが)後悔させないのでぜひ読んでみてください。

中村俊春『ペーテル・パウル・ルーベンス 絵画と政治の間で』

私の大好きなルーベンスの人生がわかる一冊です。
私にとってはルーベンスですが、あなたの気に入った画家の人生を書籍で追ってみるのをお勧めします。

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この記事を書いた人

芸術と技術が好きなサボテンです。
自分を構成する知識や体験を少しずつ書き留めたい。

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